対策必須!同一労働同一賃金について基礎から学ぼう【2020年から施行】

さまざまな社会人

同一労働同一賃金の対策はお済みでしょうか。
企業によっては早ければ来年から適用されることになる同一労働同一賃金ですから、それに向けて、早めの対策が求められます。
ここでは、そんな同一労働同一賃金に関する基礎的な情報からご紹介しています。
なお、この記事は6分ほどで読めます。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは、その会社で同じ労働を同じ量こなしているのであれば、同じ賃金をもらわなければおかしい、という考え方です。
同時に、その考え方を徹底させるための賃金政策のことも指しています。
仕事の性質や量が違うならともかく、まったく同じ条件の仕事を同じだけこなしているのに、同じ会社の誰かのお給料があなたより高いということになると、どうしても損をした気分になりますよね。
こういったものは、雇用主や事業主の裁量によって、性別や国籍、雇用形態などを理由にさまざまな企業で行われてきたものです。
どうにか安い賃金で誰かを使おうと考えたり、なんらかの理由で不当に区別をしたりといったものがまかり通り、特に派遣労働者やパート労働者などがその対象になっていました。
労働基準法などでもこういった差別や区別といった待遇の差をなくすようはたらきかけてきましたが、同一労働同一賃金によって、より明確にこの待遇の格差をなくそうと考えられたのです。
この同一労働同一賃金は、2020年の4月1日から開始されることになりますが、ただ、どのような企業も一律この日から始めるというわけではありません。
中小企業(資本金額などが3億円以下で、労働者数が300人を常に下回る企業)においては2021年から適用されることになり、やや適用までに時間がかかるのが特徴です。

同一労働同一賃金が適用される前に何をしなければならないの?

では、結局同一労働同一賃金が適用される前に何をしなければならないのでしょうか。

ステップ1.まずは労働者の雇用形態や待遇を確認する

同一労働同一賃金の対象になっているのは、主に非正規雇用労働者です。
パートタイム労働者、派遣労働者、有期雇用労働者が該当します。
この3つの非正規雇用労働者と、正規労働者と待遇に、不合理な差を付けることが禁止されることになります。
そのため、まずは雇用している労働者全体の雇用形態や待遇について確認・把握を行う必要があるのです。
非正規雇用労働者が対象になるとはいえ、正規雇用労働者の情報もなければ、待遇差があるのかは判断できないので、全体的な確認が必要になります。

ステップ2.計画を立てて規定やガイドラインの策定

全体的な確認後、不合理な待遇差があるとすれば、それは法に違反している状態だと判断できますので、是正の必要性があります。
ただ、同一労働同一賃金では、闇雲に正規雇用労働者と同程度の待遇にすれば良いというものではありません。
待遇に不合理な差は付けることが禁止される、という文面をよくよく読むと、合理的な理由さえあれば差をつけることは良いとしていることがわかります。
何が合理的で何が不合理なのかは原則的な考え方については、厚生労働省のものに従わなければなりません。
そして、同一労働同一賃金では均衡待遇規定、均等待遇規定という2つの規定とガイドラインを策定する必要があります。
このステップは、法律が関わってくるだけでなく、社内の人事制度も同時に見直すことになりますから、難しい部分だといえるでしょう。
何が不合理で何が不合理でないのか、どれに是正が必要でどれが不要なのかといった振り分けを行なうだけでも大変です。
そして規定やガイドラインを作り、適用のために労働者側の意見も取り入れるといったことも行うため、計画を立てて行わなければなりません。

ステップ3.不合理な待遇差があれば是正、合理的な差であればそのまま

そして待遇に不合理な差があると改めて判断されれば是正を行い、合理的な差だと判断できればそのままにします。
ただ、同一労働同一賃金では、労働者側に「なぜこのように差があるのか?」という部分について説明を求めることを許可し、企業側はそれに対して説明することを義務化します。
そのことから、「なぜそのような差があるのか」ということを、はぐらかすことなく説明しなければなりません。
不合理でない合理的な差であるということを示さなければならないので、ただそのままにするのではなく、説明できるような準備をしておくことも重要になります。

おわりに

同一労働同一賃金は2020年から早ければ適用されることになるので、対策は必須です。
それに焦りを感じる企業もあるかもしれません。
ですが、同一労働同一賃金は法律に関わるだけでなく、人事制度にも関わることなので、社内では難しいと感じることもあるでしょう。
そんなときは、外部企業へのアウトソーシングを検討してみるのも1つの手です。
人事コンサルティングを手掛けている企業に依頼すれば、ノウハウも蓄積されていますし、第三者の目から見ても適切な同一労働同一賃金対策や提案をしてくれることが期待できます。